2021年6月7日(日本時間8日)、Appleは毎年恒例のWWDC(Apple Worldwide Developers Conference)をスタートした。注目のキーノート(基調講演)では多数の新機能を加えたiOS15、iPadOS15、新macOS Montereyを発表した。一方で、噂に上がっていたMacBook Proの新モデルなど新製品の発表は今回のWWDC21ではなかった。
- 1 FaceTime
- 2 Message
- 3 集中モード(Focus)
- 4 通知
- 5 地図
- 6 Safari
- 7 Wallet
- 8 LiveText/ビジュアルルックアップ
- 9 Spotlight
- 10 写真
- 11 健康
- 12 プライバシー関連
- 13 Siri
- 14 iCloud+
- 15 アクセシビリティ
- 16 天気
- 17 メモ
- 18 翻訳
- 19 ウィジェット
- 20 Find
- 21 2段階認証コード自動生成機能
- 22 AppleID
- 23 iPadOS15ではマルチタスクを強化。ウィジェット、アプリライブラリも利用可能に
- 24 SwiftPlaygrounds
- 25 ユニバーサルコントロール
- 26 AirPlay to Mac
- 27 Macに「ショートカット」が搭載
- 28 開発者向けツール
FaceTime
グループ通話でグリッド表示が可能
FaceTimeのグループ通話時にグリッド表示が採用された。グリッド表示に切り替えれば、参加者全員の画面が同じ大きさで表示されるようになる。また、発言者のフレームの色だけが変わるのでわかりやすい。
Android、Windowsでも利用可能
これまではiOSデバイスでしか利用できなかったFaceTimeがWebブラウザで利用可能になる。これによってAndroidスマートフォンやWindowsPC等でも利用できるようになる。Appleユーザー以外も利用できるので、Zoom等他社のビデオ通話サービスと同じように気軽に使える。なお、ブラウザからの利用でもエンドトゥーエンドで暗号化されているため安全に利用することができる。
「SharePlay」でコンテンツを共有可能に
画面を共有して、映画や音楽などを家族や友達と一緒に楽しめる。
共有可能のコンテンツはAppleTVやAppleMusicだけでなく、HuluやDisney+などのSharePlay APIに対応した他社サービスも利用可能。
その他FaceTime新機能
空間オーディオ対応
空間オーディオに対応したことにより、画面上の配置通りの方向から音声が聞こえてくるようになる。より自然な会話が実現が可能になるようだ。
ポートレートモード追加
背景をぼかして、人物に焦点が合うようになるみたい。
ボイスアイソレーション機能追加
雑音、騒音を遮断して自分の声を優先的に拾ってくれる。
Message
送られてきたリンクや画像が見やすくなる
メッセージで送られてきたURLリンクや画像等は各アプリに新しく追加される「Shared with You」セクションでまとめて見ることができる。
URLリンクは「News」アプリ、画像は「写真」アプリ、曲は「ミュージック」アプリ、それぞれの「Shared with You」で確認できるようになる。また、各アプリの「Shared with You」からメッセージアプリに戻ることなく、メッセージを送信することもできる。
写真がまとめて表示される
メッセージ内の写真はこれまでのように一枚一枚表示されのではなく、まとめて表示されるようになる。
スクロールの手間がなくなるので、こっちの方が良さそう。
集中モード(Focus)
通知を自由にカスタマイズ
新機能の「集中モード」では「運転」「睡眠」「仕事」「運動」「プライベート」など現在の状況に合わせて細かくモードを選択することが可能。選択したモードによって通知や着信を遮断される。例えば、仕事モードを選択した場合はメールやSlackなど仕事に使うアプリの通知のみが表示するように提案してくれる。どのアプリの通知を許可して、どのアプリの通知を拒否するかなど自由にカスタムすることもできるし、独自の集中モードを作成することもできる。
また、集中モードに合わせた専用のホーム画面を作成することができるので、仕事モードの時は娯楽系アプリを配置しないというようなこともできる。
通知
通知のデザインが再設計
アプリのアイコンや連絡先の写真が大きく表示されるなど、通知のデザインが一新される。
通知要約(Notification Summary)
通知要約は通知をまとめてくれる新機能。アプリの利用状況などに合わせてパーソナライズされており、重要度の高い通知が優先的に表示される。通知要約は自分が設定した好きな時間に配信が来るので、頻繁な通知の度に集中力が奪われるというようなこともない。
また、人からのメッセージは通知要約に入らず一番上に来るので、見逃すようなことはない。
地図
3Dマップ
地図が3Dで表示される。
ただし、対応するのはアメリカ、カナダ、イギリス、アイルランド。続いてスペイン、ポルトガル、イタリア、オーストラリアでも順次対応する予定。日本は現時点で未対応。
ARナビゲーション
ARナビゲーション機能も対応するのはサンフランシスコ、ロンドンなどの一部都市のみで日本では未対応。今後順次対応都市が増やしていくみたい。
Safari
Safariのデザインが変更
iPhoneのSafariはタブバーを左右どちらかにスワイプするだけでタブを切り替えられるようになるなど、片手でも操作しやすいように変更される。また、アドレスバーが画面下部に移動することによって、WEBコンテンツ自体が見やすく表示される。
macOS版のSafariではアドレスバーだけでなく、タブバーなども一行で表示。かなりシンプルな見た目にまとまる。
タブグループ
タブを保存し、グループにまとめるタブグループ機能も追加。タブグループはそのまま共有することもできる。ブックマーク的な使い方もできるので便利。
iOS、iPadOSでWeb拡張機能利用可能に
iOSとiPadOSでもmacOSと同じようにSafariで拡張機能が利用できるようになる。使いにくいアプリは拡張機能を利用してSafariから利用した方が快適に使えそう。
Wallet
免許証や鍵として利用可能に
アメリカの一部の州では免許証などの身分証明書をiPhoneのウォレットに取り込むことができる。日本は非対応。これはかなり羨ましい。
また、対応している車やホテルなどはウォレットに鍵を格納し、利用することができる。
LiveText/ビジュアルルックアップ
ついにOCR機能が搭載!LiveText
撮影した写真などから文字を読み取ってコピーアンドペースト、翻訳などに利用できる。
ただし、残念ながらLiveTextもiOS15リリース時点では日本語に非対応。まず対応する言語は英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語となる。日本語に対応するまでは引き続きGoogleのサービスを使うことになりそう。
カメラで被写体の情報を検索するビジュアルルックアップ
これもLiveTextと同じようにGoogleレンズと同じような機能を持っている。
カメラで映してタップするだけで本の名前や犬種、花の種類など被写体の情報を得ることができる。
Spotlight
検索結果が豊富に
新機能LiveTextとビジュアルルックアップの存在によって、写真の中の文字や風景もSpotlightから検索できるみたい。写真の文字まで検索結果に出てくるのはかなり便利だと、Googleドライブ利用時に実感している。日本語非対応ではあるが、これも嬉しい進化。
また、アーティストや俳優などの著名人の検索結果も全く新しい豊富な情報が出てくるようになるなどSpotlightは全体的に大きな進化を遂げる。
写真
Apple Musicとの連携
写真の雰囲気に合わせてAppleMusicから音楽を選んでくれるみたい。
健康
医療データの共有
「ヘルスケア」アプリから医療データを医療機関と共有可能に。リリース時点で日本では非対応。
プライバシー関連
プライバシーレポート
どのアプリが位置情報、写真、カメラ、マイク、連絡先等の情報にいつアクセスしたか確認できる。
メールのプライバシー保護
プライバシー保護をオンにすることでIPアドレスが非表示になり、送信者から現在地の特定、メールを開封済みかどうかなどの確認ができなくなる。
Siri
Siriがデバイス上で完結&高速化
Siriが基本的にデバイス上で処理を完了するようになる。インターネット接続がなくても大半のタスクを実行できるようだ。また、処理自体も驚くほど早くなるみたい。
iCloud+
iCloudがiCloud+へ進化
iCloudが進化。これに伴って名称も「iCloud+」へ変更に。
料金は据え置きのままで、有料課金しているユーザーのみが使えるようだ。
プライベートリレー
新機能「プライベートリレー」はSafariでより安全にWEBサイトを閲覧するためのプライバシー保護機能。ユーザーの身元と訪れているサイトがAppleでさえも追跡できない設計になっているみたい。iPhone、iPad、MacなどでiCloud+にログインするだけで有効になって使える。
Hide My Email
ランダムでユニークなEメールアドレスを作成できる。ランダムなEメールアドレスをサブアドレスとして使うことで、メインアドレスを隠しながらも、メールを受信することが可能。
既に「Sing in With Apple」対応サイトではランダムなEメールアドレス作成を利用できるが、iOS15からは「Sing in With Apple」対応サイト以外でも利用できるようになる。
HomeKitセキュアビデオ
今までよりも多くのセキュリティカメラに接続できるようになる。動画データはiCloudストレージの容量に含まれない。
アクセシビリティ
アプリ毎で文字サイズを変更できる
アプリごとにテキストサイズが設定できるようになる。これにより、一部のアプリだけ必要に応じてカスタマイズすることが可能。
天気
デザインが一新
天気アプリのデザインも一新される。美しいアニメーションとグラフィック表示によって、天気がこれまで以上に魅力的に表示される。これはAppleが天気アプリ「Dark Sky」を買収したことによって実現したと思われる。
メモ
タグとメンション機能追加
「メモ」アプリも強化される。
タグやメンション機能追加により、メモの管理や共同作業が快適に行える。また、編集履歴を確認可能になる。
iPadOSとMacOSにクイックメモ搭載
iPadとMacで使える様になる新機能「クイックメモ」はその名の通り、すばやくメモしたいときに便利。
iPadなら指やApple Pencilで画面隅から上にスワイプするだけで、クイックメモが起動する。メモアプリを開く必要はなく、どのアプリを使っていても起動できるし、ホーム画面からでも、全画面表示中でも、分割表示中でも使用できる。
クイックメモは使用中のアプリを認識しており、Safariで使ったクイックメモはあとからSafariに訪れたときに簡単に確認できる。また、今までに取ったクイックメモの一覧は「メモ」アプリで表示することができる。
なお、iOSではクイックノートを作成することはできないが、iPadやMacで作ったクイックノートの参照、編集は可能のようだ。
翻訳
iPadOS、MacOSにも翻訳機能搭載
今まではiOSにしかなかった「翻訳」アプリが、今回のアップデートからiPadOS・MacOSにも登場。iPadやMacでは大きな画面が活かせるので、iPhoneでの利用よりも快適に使えそう。
翻訳機能自体も進化
システム全体で翻訳機能が使えるようになり、デバイス上のどこでも翻訳できるようになるようだ。
また、「AutoTranslate」により自然な会話が実現したり、SplitViewを使いながら2画面で翻訳するようなことも可能になるなど大きな進化を遂げる。
ウィジェット
新しいウィジェットが追加
iOS14から導入されたウィジェット機能。iOS15では「メール」アプリや「AppStore」アプリ、「探す」アプリなどのウィジェットが追加されるみたい。
また、スマートスタック内のウィジェットを並び替えることもできるようになるようだ。
Find
電源オフでも初期化済みでも場所を特定可能
なんとiOS15では電源オフの状態でも、初期化済みの状態でもデバイスの場所を特定する。
これはAirTagと同じように、街中に存在するAppleデバイスとBluetooth通信する「探す」ネットワークを使うことによって場所を特定する仕組みのようだ。
AirPodsPro/AirPodsMaxも探せる
iPhoneよりも紛失しやすい、AirPordsProとAirPodsMaxの場所も「探す」アプリから探すことが可能。
通信できる範囲から「サウンドを再生」を押すと、AirPordsPro/AirPordsMaxから音を鳴らせるので見つけるのも簡単になる。
また、AirPordsPro/AirPordsMaxを置いたままで離れると、iPhoneへ通知が飛ぶ紛失防止機能も搭載されるようだ。
2段階認証コード自動生成機能
他社2段階認証アプリは不要になるか
iOS15、iPadOS15、macOS Montereyでは2段階認証に必要なコードを自動作成する機能が備わるようだ。
「Google Authenticator」などの他社2段階認証アプリを利用しなくても、Appleデバイス内のみで完結できるようになるなら嬉しい。
AppleID
AppleID復旧のための連絡先を設定できるように
パスワードを忘れてAppleIDにログインできなくなった場合に備えて、アカウント復旧のための連絡先を登録できるようになる。パスワードを忘れた際は、登録した連絡先に連絡して、再ログインに必要なコードをもらうことで解決できるようだ。
デジタルレガシープログラム
デジタルレガシープログラムを使用して他のユーザーをレガシー連絡先に指定しておくと、AppleID利用ユーザーが亡くなった場合、レガシー連絡先のユーザーが個人情報にアクセスできるようになる。
メールや写真、メモなどを閲覧できるようになるみたい。
iPadOS15ではマルチタスクを強化。ウィジェット、アプリライブラリも利用可能に
マルチタスクメニュー
iPadOS15ではマルチタスク機能が強化。
アプリ上部のコントロールをタップして表示されるマルチタスクメニューを使用することで、SlideOverやSplitView、全画面表示など画面表示の方法を切り替えられるようになる。
新機能「シェルフ」を使ってアプリのウィンドウに簡単にアクセスしたり、スイッチャーからSplitViewを作成できるなど、大きく進化した印象。慣れるまで少しかかるかもしれないが、デモを見たところ、今よりも絶対に使いやすい。
センターウィンドウ
画面左右だけでなく、中央部分でもメモやメッセージ画面が開けるようになるみたい。
iPadにもウィジェットとアプリライブラリが搭載
iPhoneと同じように、iPadでもウィジェットとアプリライブラリも利用できるようになる。iPadが更に便利になる。
SwiftPlaygrounds
iPadでアプリ作成提出が可能
iPadのSwiftPlaygroundsでアプリの作成と、AppStoreに提出までできるみたい。面白そうなので試しにやってみたい。
ユニバーサルコントロール
MacとiPadがシームレスに連携
新機能の「ユニバーサルコントロール」が搭載されることで、1つのマウスとキーボードでシームレスにMacとiPadを行き来しながら操作することが可能になる。
今まで以上にiPadとMacの連結が簡単になるので、これはかなり便利そう。Apple製品の使い方の幅もさらに広がると思う。
AirPlay to Mac
iPhoneやiPadからコンテンツをMacへ送信して出力
新macOS Montereyの「AirPlay to Mac」。この機能によってiPhoneやiPad、他のMacから、MacへAirPlayで音楽、動画、Keynoteの資料などを飛ばして再生・表示することができる。
Macに「ショートカット」が搭載
「Automator」から「ショートカット」へ
現在iOSとiPadOSで利用できる「ショートカット」がmacOS Montereyに搭載される。FinderやSpotlight、Dock、デスクトップ、Siri、メニューバー等、どこからでもから起動できるみたい。
開発者向けツール
多様なAPIが追加
SharePlay APIやスクリーンタイムAPIなどに加えて、Object Captureが追加。3Dオブジェクトが数分で簡単に作成できるアプリを作れるようになる。また、Swift自体も進化し、よりシンプルなコードで書けるようになる。
App Storeのアプリ紹介ページが複数パターン作成可能
App Storeでユーザーによって異なるスクリーンショット、ビデオ、アイコンなどを表示できるようになる。
Xcode Cloud発表
ソースコードの管理やテストツール、ビルドツールなどを統合した「Xcode Cloud」を発表。価格や発売日については秋に発表される。